【ご利用者の声】QUT看護学修士号卒業後、オーストラリアの正看護師へ

皆さん、こんにちは。

今回は、ブリスベンにあるQUT(クィーンズランド工科大学)で、Master of Nursing – Entry to Practice(看護学修士課程)を卒業されたHarukaさんの声を届けたいと思います。

Harukaさんは最初シドニーの語学学校で勉強され、その間に同時進行でPTEも準備もされていました。無事PTEを取得した後、QUTへ進学!現在は麻酔看護師として働きながら、永住ビザを申請中です。現地採用に至るまでの道のりは決して簡単ではなかったようです。

永住ビザまでの道のりや、日本とオーストラリアの看護大学の違い、就職活動、AHPRAへの看護登録事情など、今後オーストラリアで正看護師を目指す方に有益な情報ばかりなので、是非ご一読いただけると幸いです。

1. 日本でのご経歴について教えてください

手術室看護師として6年間、呼吸器内科病棟で1年間、赤十字病院で働きました。その後は7年間を国際系の病院で手術室看護師として働きました。

2. 留学のきっかけは何でしたか?

30歳になったことをきっかけに、自分のキャリアや人生についてもう一度考え直しました。死ぬ前にやらなければ悔やむことはなんだろうと考え時、真っ先に頭に思い浮かんだことが「英語が自由自在に使いこなせるようになりたい!」でした。しかし、英語の学習という目標は漠然としていて三日坊主になる可能性が高かったので、何か具体的な行動目標を立てようと思いました。私は幸い手術室看護師の仕事は好きだったので、“看護師として働けるほどの英語力をつけ、海外で手術室看護師として働く”ことを目標に定め、留学を決意しました。

3. なぜオーストラリアを選びましたか?

学費が私の払える範囲内で、西洋文化のある英語圏の、安全で温暖な気候の地域あればどの国でもよかったのですが、一番の決め手は時差です。夜勤で働いた後の体内時計が狂う感覚がとても苦手で、たとえ年に1回の帰省であったとしても、時差ボケのつらい感覚を少しでも避けたかったからです。現在は半年に一度日本へ帰国していますが、8時間のフライトでも少しの疲れだけですみ、翌日から元気に活動できる点が本当に気に入っています。また、時差を気にせず日本にいる友人や家族とストレスなく連絡を取ることができるのも、オーストラリアを選んでよかったと思う理由の一つです。

4. 看護の修士号プログラムに入るにはIELTS7.0/PTE66が求められますが、どのように対策されましたか?

最初は中学・高校の薄い文法の問題集からはじめました。文法書のForestもわかりやすくて気に入って読んでいました。単語量も少なかったのでIELTS試験対策に有効な単語帳の往復と単語帳についているCDを通勤中に聞きながら発音の練習もしていました。その後は日本にある英語文法を専門とする塾に半年間通い、自己学習した文法をどのように4技能(reading,listening,writing,speaking)に活かすかを学びました。

IELTS試験対策としてオンラインの講座を受講したり、シドニーにある語学学校に通ったり、個人で過去問を解くなどしていましたが結果が伸びず、PTEに切り替えました。PTE対策としては、PTEの採点方法を知ることから始めました。PTEの採点方法は独特で、4技能に反映される問題とされない問題があり、重きを置く問題とそうでない問題があるためです。効果的に点数をとることに焦点を置き、友人やSNSを通して情報収集をしました。また、PTE対策のアプリ(APE Uniで問題形式別に練習をし、オンラインの無料模擬試験やPeasonのPTE公式模擬試験(有料)で実践練習をしました。その結果、ぎりぎりですが大学合格ラインに届くことができました。

5. QUTの看護学修士号はいかがでしたか?

私は、QUT(Queensland University of Technology)の、Master of Nursing (Entry to Practice)という、卒業後にRegistered Nurse としての登録の資格が得られるコースに在籍しました。

QUTはテクノロジー系の大学だけあり、看護実践に近いようなシミュレーションが行えるようなICUを模した部屋とマネキンがあり、その部屋で患者が呼吸不全に陥った想定の実技試験を受けました。AIチャットで問診練習ができるコンテンツもあったりと、学問と看護実践のギャップを埋める工夫がされていました。

1学期につき4科目受講するのですが、基本的にどの科目も録画された講義を事前に視聴し、チュートリアルでそのテーマについてディスカッションをし、各自で小論文の課題や試験勉強をするといった流れです。録画された講義はAIの文字起こし機能がついていたため、わからない部分は巻き戻しして何度も聞いたり、一時停止して単語を調べたりすることができました。チュートリアルでは、話しているテーマや必要な英単語が事前予習でわかっているため、英語がわからなくて取り残されている感覚はありませんでした。

テクノロジーについていけない場合は、HiQというサポート部門が図書館に平日常駐しており、一緒に問題解決をしてくれました。キャンパス施設全体も生徒に開けていて、学生がお気に入りの場所が見つけられるように随所に工夫がされていました。緑が美しく、天気のいい日は外のベンチで課題をしたり友人とランチをしたりしました。

看護実習は1学期につき4週間、一番最後の学期は8週間で、2年間で合計800時間の実習をしました。この800時間は卒業後、看護師としてAHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)登録に必要な実習時間です。日本のように実習のための課題はなのですが、その他の3科目が平行して進んでいるので、実習の前後で授業に出たり課題をしたりするのがとても大変でした。

6. Harukaさんは日本の大学で看護学を勉強されましたが、オーストラリアの大学は日本の大学とどのような違いがあると感じましたか?

日本とオーストラリアの大学における看護教育の違いは、オーストラリアではより実践を重視している点です。例えば、日本の看護学校では最初に「看護学概論」を学び、「看護とは何か」を考えながら、自分なりの看護観を形成するよう促す傾向があるように思います。一方、QUTではそれの替わりにNMBA(Nursing and Midwifery Board of Australia)が発行している“Registered nurse standards for practice”や“Code of conduct for nurses”を用いて、看護師として求められる役割や責任、行動規範について学びました。そこには日本ほど「看護とは何か」を考える余白はなく、より実践的に、そして直接的に看護師としての臨床での判断や行動基準を学ぶ内容である印象を受けました。

また、QUTでは看護分類学(NANDA等)や、看護理論(Gordon、Henderson等)などの授業は一切なく、替わりに、ABCDE Assessmentや、Clinical Reasoning Cycleを中心に習いました。日本の授業が患者を包括的にケアすることに重点を置いている一方、オーストラリアの授業は「目の前の患者の命を救うために何をすべきか?」が中心にあるように感じました。

私はQUT(Queensland University of Technology)のMaster of Nursing (Entry to Practice)に在籍していました。このコースは、修了後にRegistered Nurseとして登録するための資格取得を目指すプログラムです。授業内容は臨床実践を基盤としながらも、将来的にチームを牽引するリーダーとして活躍できる看護師の育成を意識した構成になっていると感じました。実際に、課題では医療チームの一員としての視点だけでなく、リーダーとしてどのように対応すべきかを問う内容が多く含まれていました。また、エビデンスに基づいて医療現場の課題を分析し、環境改善につなげる方法を学ぶ授業もありました。そのため、単に看護師免許の取得を目指すだけではなく、その先を見据えた一段高いレベルの教育を受けているという実感がありました。

このコースに入学する前は、「日本の看護コースで学んだ内容と重複する部分が多いのではないか」と考え、同じような内容を学ぶために高い学費を支払うことに迷いもありました。しかし、実際に学んでみると、日本とオーストラリアでは看護教育のアプローチが大きく異なっていました。QUTでの学びは、日本で身につけた看護の知識を土台としながら、その上に新たな実践的知識を積み重ねていくような内容でした。そのため、日本の大学で学んだ内容と重複しているという印象はほとんどなく、日本で看護学を学んだ私にとっても非常に有意義な経験だったと感じています。

7. AHPRAの登録はいつ頃から準備されましたか?また、登録にはどのような書類が必要でしょうか?

AHPRAの登録は在学中から始めました。卒業の3ヶ月前の9月ごろにAHPRAから、「卒業する頃の12月は繁忙期なので、早めに登録申請するように。」という趣旨のメールが届きました。看護学生として大学の方から私の連絡先がAHPRAに伝わっているので、それで直接メールが送られて来たようです。私は課題を優先したために、少し遅れて11月に登録申請を完了しました。

申請はAHPRAのサイトからログインして行います。必要な書類は、パスポートなどのIDPTEの成績などの英語技能証明の他、ICHCや、COGSQUTの成績証明書が必要でした。

ICHC (International Criminal History Check)は一般的な犯罪を犯していないか、罰せられた過去がないか調べるものです。ICHCは、AHPRA指定の会社を通して申請する必要があり、結果は2週間ほどAHPRAに直接届けられました。

QUTの成績証明書は大学から直接AHPRAに送られる必要があるので、個人で提出する書類はありません。卒業と同時に大学からAHPRAに届きました。

COGSCertificate of Good Standing の頭文字で、看護師として海外で働いた経験がある場合、看護師として行政処分を受けていないことを証明する書類です。こちらの書類が日本ではどの証明書にあたるのかわからず苦労しましたが、どうやら“行政処分関係英文証明書”というものに相当するようです。厚生労働省の免許登録係に申請をして取得します。行政処分関係英文証明書は、申請者本人を経由せず厚生労働省からAHPRAへ直接送付される必要があります。私の場合、AHPRAに届くまで約2か月かかり、この証明書を待っていたため卒業後もしばらく登録が完了しませんでした。登録手続きをスムーズに進めるためには早めの申請がおすすめですが、証明書はAHPRAに提出される時点で発行から3か月以内である必要があります。そのため、早すぎても再取得が必要になる可能性があり、申請時期の調整が重要です。

8. 就職活動はどのようにされましたか?

私は日本で手術室看護師として働いていたので、オーストラリアでも同じ職に就きたいと考えていました。QUTの看護学生の頃は実習の度に病棟の看護師や臨床実習指導者、休憩室にいるスクラブを着ている人など、様々な人に声をかけて手術室のナースマネージャー(日本では師長さんにあたる人)を紹介してもらい、実習中に面接をしてもらいました。しかし、どのマネージャーも最初は採用すると言ってくれますが、働くためにスポンサービザが必要な旨を伝えると、「スポンサーはしていない。ビザを取得してから戻ってきてほしい。ビザがあれば喜んで採用する。」と言われてしまいました。バイト先の病院の人事課にもスポンサーになってもらえないか数回問い合わせをしましたが、返事はもらえませんでした。

オーストラリアでは、多くの看護学生は大学卒業後、graduation programと呼ばれる新卒看護師向けの病院の育成プログラムに応募し、新人看護師として採用された後、臨床教育を受けながらキャリアをスタートさせます。私は大学が開催したgraduation program の就職フォーラムで、様々な病院にスポンサーしていただけないか聞いて回りましたが、どこも「スポンサーはしていない。」「何でもいいからビザを取得してきて欲しい。」との返答でした。私は卒業後のビザがないため、他の友人や看護学生と同じようにgraduation programに応募することはできませんでした。

これらの経験を通して、ビザが就活には必須であることを痛感したため、卒業後はIndeedやSeekなどの求人サイトを利用し、オーストラリア全土の病院や高齢者施設のうち、スポンサービザを提供している施設を中心に約30件の応募を行いました。しかし、面接まで進むことができたのは1施設のみで、結果として採用には至りませんでした。

振り返ると、看護師としての能力や経験だけでなく、ビザの問題が就職活動の大きなハードルになることを実感した経験でした。

9. 現在働いている病院とのご縁や面接で聞かれたことなど詳しく教えてください。

私は看護実習をした病院で看護助手(Assistants in Nursing)として採用され、大学在学中から卒業後の数か月にかけて、就職活動と並行しながらバイトをしていました。患者さんやそのご家族とはADL介助の傍ら世間話をすることが多く、私自身のことも質問されることが多かったです。ある時、一人の患者さんに、「ビザスポンサーを探すのに苦労している。」と近況を話したところ、「僕の病院は看護師のスポンサーをしていると思ったけど…。」と教えてくれました。その患者さんはブリスベン近郊の病院に勤務する医師でした。

帰宅後、半信半疑でその患者さんの勤めている病院を調べたところ、その病院が属しているグループ全体でビザスポンサーを行っているようでした。そこで、そのグループ内で採用募集を行っていた複数の病院に対し、共通の採用ページを通じて応募しました。その結果、応募した施設の一つからオンライン面接の機会をいただき、最終的にビザスポンサーを受けることができました。そして現在は、その病院の手術室で麻酔看護師(Anaesthetic Nurse)として勤務しています。

この就職は自分一人の力だけで実現したものではなく、人とのつながりやご縁に支えられて実現したものだと感じています。

面接の質問内容はとても具体的でした。看護師として対応経験のある麻酔の種類や、麻酔器のチェック方法、扱ったことのある麻酔器の種類、悪性高熱時の対応、医師や患者からの不満や苦情の対応、これまで取り組んだ業務改善、手術室でのリーダー業務内容、などです。すぐに臨床で働ける人材を求めていることが伺えました。

10. 留学中、一番大変だったことは何でしょうか?

留学中に大変だったことは、留学に関する法律や制度、AHPRAの登録要件、PTEの採点方法や試験内容など、様々なことがコロコロと変更されたことです。例えば、大学卒業後に取得予定だったTemporary Graduate visa (subclass 485)の年齢条件が引き下げになったことで、卒業後に看護師として働くためのビザを取得できなくなりました。この変更は私がQUTに入学した後に行われたもので、ビザがなければ就職どころかオーストラリアに滞在することもできず、看護師資格を取得しても日本へ帰国せざるを得ない状況でした。

また、AHPRA登録のために必要な英語技能要件も引き上げになったため、大学在籍中に再度PTE試験を受ける必要がありました。しかし、PTEの採点方法や試験内容が大幅に改定されており、ほぼ一から情報収集を行い勉強し直さなければなりませんでした。幸い新しい看護師登録要件を満たすスコアを取得することができましたが、再度パスするまでの約1年間は「看護師にすらなれないかもしれない」という不安を抱えながら過ごしていました。

ビザや看護師登録など生活や将来の基盤となる制度が頻繁に変わり、そのたびに自分の人生設計が大きく左右される感覚は、日本では経験したことのない大きなストレスでした。

11. 日本で看護師をしていて、留学するか迷っている方へアドバイスをお願いします。

私個人の意見ですが、もし留学に興味があり、時間や資金、そして心身の健康といった条件が整っているのであれば、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。

看護師という職業の大きな強みの一つは、日本の看護師資格には有効期限や継続要件がなく、一度取得すれば帰国後も比較的仕事を見つけやすいことです。他の業界と比べると、生活や収入の基盤がある程度保証された状態で留学に挑戦できるため、恵まれた環境にあると感じています。

留学の目標が達成できるかどうかはもちろん大切ですが、私はそれ以上に、挑戦した経験そのものに大きな価値があると思っています。たとえ思い描いていた結果にならなかったとしても、その過程で得た経験や出会いは、自分自身の財産として今後の人生やキャリアの糧になるはずです。例えばオーストラリアでは、看護師の働き方や職務範囲が日本とは異なり、Registered Nurseが抜管やドレーン抜去、中心静脈カテーテルの抜去を担当します。私自身、看護学生として初めて実習でドレーン抜去を経験し、日本との違いに驚きました。

このように、異なる医療制度や看護実践に触れるだけでも多くの学びがありますし、その経験を今後どのように自分の看護に生かしていくかを考えることも留学の醍醐味だと思います。

12. ICNオーストラリア留学情報館を選んだ理由は何でしょうか?

ICNオーストラリア留学情報館の森さんと出会う前に、3つの留学エージェントさんのカウンセリングを受けました。私は留学を志したのが31歳、エージェントさんを探して本格的に始動したのが35歳でした。ワーキングホリデーの対象年齢もとうに過ぎ、それらのカウンセリングでは「その年齢から英語を勉強して海外で看護師として働くのは難しいと思いますよ。」という言葉をかけられました。年齢を理由に否定的なことを言われるのはとても悲しく、サポートを断られることはなかったものの、「この人にお願いしたい」と思えるエージェントには出会えませんでした。一方で森さんは、私の年齢を理由に主観的な意見を述べることはありませんでした。もちろん、ビザの取得条件などに年齢は関わってきますので、年齢に関わる留学の難しい点を話すこともありましたが、年齢を理由に私の将来の可能性を否定されることはありませんでした。一人の人間として尊重されていると感じることができました。

また、私の目標は、オーストラリアで看護学生となり看護師資格を取得し、看護師として働くことでした。そのすべての段階でビザが大きく関係してくるので、ICNオーストラリア留学情報館にビザのスペシャリストの廣瀬さんがいてくださったことは心強く、安心してビザに関する相談やお手伝いをお願いすることができました。

 

いかがでしたでしょうか?

「留学の目標が達成できるかどうかはもちろん大切ですが、私はそれ以上に、挑戦した経験そのものに大きな価値があると思っています」というのは私も同感です。これから留学する方にも、そう感じていただけるようサポートさせていただたいと思っています!

正看護師を目指されたい方、アシスタントナースにご興味がある方はもちろん、留学してみたいなという方も、まずは、ICNオーストラリア留学情報館へお気軽に問い合わせくださいね。お待ちしています!

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